答えは、たったの2%。日本で売られている衣服の98%が海外で作られ輸入されています。それゆえに、食品ロスなどに比べると、衣服ロスについてはあまり関心が薄いのが実情かと思います。しかし、衣服製造過程や輸送時でも資源やエネルギーが使用されており、衣服ロス問題を解決するのもSDGsとして重要な取り組みです。ファッション業界では、大量生産・大量消費・大量廃棄により、製造にかかる資源やエネルギー使用の増加、ライフサイクルの短命化などから環境負荷が非常に大きい産業と指摘されるようになり、国際的な課題となっています。もうすこし、数字を並べると、日本の家庭から焼却・埋め立てされる衣料の量は新規購入衣料の約7割で、1日当たり大型トラック130台分といわれ、年間約48万トンが可燃ゴミ・不燃ゴミとして処理されています。近年はフリマアプリや回収などでリサイクルやリユースが増えてはいますが、その割合は約30%程度です。仮に、家庭から手放され焼却・埋め立てされる衣服がすべてリサイクル,リユースされれば、最大で年間約2,700万トンのCO₂排出量を削減できるといいます。これは東京都の年間CO₂排出量の約45%に相当します。
 海外においては、日本に供給する衣服製造のために、年間約83億㎥の貴重な水が使われています。そのうち約9割は綿花の栽培によるものです。すべての綿をオーガニック・コットンにできれば、年間約67億㎥の水(東京都の年間利用水量の4倍以上)が節約できるという試算もあります。
 ここで、最近、耳(目)にするようになったオーガニック・コットンについて説明しておきますね。オーガニック・コットンは、農薬や化学肥料を使わずに育てられた環境にやさしい素材(綿)です。さらには環境のみならず、労働者の人権をサポートすることにもつながります。コットンは耕作面積の割に使用する農薬量が多く、特に殺虫剤の使用割合が高いとされます。多くの化学薬品が土壌や空気中を漂うことで、ほかの生物へも悪影響を与え、呼吸や肌への付着することで生産者の健康被害も生じています。世界最大の生産量を誇る中国やインドを中心に健康被害が多数報告されており、特に貧しい地域では、マスクや防護服なしで農薬を扱っていることも多く、大量の化学成分を体内に取り込んでしまうのです。健康面のほか人権問題の観点では、たとえば、作付面積で世界2位(1位は中国)を誇るインドでは、およそ40万人の子どもが働かされ、うち8割は女子です。ほとんどは「親の借金返済のため」「家計を助けるため」のような深刻な理由を抱え、大人よりも安い賃金で雇われています。2002年以降、30人に1人が自ら命を絶っているとのデータもあるなど、過酷な労働に疲れて農薬を飲んで自殺する事例が後を絶たないといいます。前述の水については、地球上にある水のうち、私たちが使える水は0.01%ということは、本サイトの「水問題」でも触れましたが、WWFによると、1枚のTシャツを作るために使われる水の量は、2,720リットルと膨大です(500㏄ペットボトル544本分)。コットン生産地はもともと乾燥地帯ということもあります。その水は生産地周辺の川や湖・地下水から調達するわけですが、つまり「その地に暮らす人・生物の水資源を奪っている」ともいえるのです。オーガニック・コットンを選択することは、そうした問題を低減することにつながります。その品質は、通常のコットンと違いはそれほどありません。ただ、栽培~加工の過程で必要な手間が多いため、通常のコットンに比べると高価にはなりますが、環境・社会にやさしいことを考えれば、選択する価値はあるのではないでしょうか。
 さて、以上のことから、私たちが衣服ロスに対し取り組まなければならない対策もみえてきたと思います。環境省も、家庭から手放される衣料品の廃棄を2030年度までに2020年度比で25%削減する目標を設定しています。不要な衣服は買わないのもサステナブル・ファッションだといわれます。衣料業界では購入される量の約1.9倍の生産をしているとのこと。もし、衣服の供給量の20%でも減らせば、約16万トンの服を作らずに済みます。その分の資源・エネルギーロスが低減できます。衣服のリサイクル,リユースを積極的に実施するのももちろん有効です。私が勤めていた会社でも定期的に「衣料回収の日」を設け、リサイクル,リユースしていました。オーガニック・コットン製品もSDGsですね。等々。
 あなたは何から取り組みますか?もっとも重要なのは、衣服ロス、すなわちサステナブル・ファッションに関心を持ち続け、実行することではないでしょうか。

 こんな質問、SDGsに何の関係があるの?と思うかも知れませんね。答えは後から出てきます。今回はナノ・プラスチック(直径1nm~1μm未満:1nmは1mmの100万分の1 )の話です。
 廃プラスチック片やマイクロ・プラスチックが生態系に影響を及ぼし、問題になっていることはご存だと思います(本コーナーの第1回でも取り上げました)。でも深刻なのは、最近の報告で、さらに微小なナノ・プラスチックが人体に入り込み、蓄積されていることが明らかになってきたことです。肺,腸,腎臓,心臓,肝臓、そして最も蓄積していたのは脳だということです。さらに認知症の人からは、より多くのナノ・プラスチックが発見されたそうです(多い場合、スプーン1杯分)。ただ、認知症との因果関係は証明されているわけではありません。
 プラスチックの発明は、わたしたちに多大な恩恵を与えてきましたが、溢れかえってリサイクルされず環境に放出されたプラスチックは、やがて紫外線により劣化・分解され、ナノ・プラスチックへと変わっていきます。ノロウィルスほどの大きさになったナノ・プラスチックは大気中にも大量に浮遊しているといいます。これまでは、例えば、海に流れ出たマイクロ・プラスチックを魚介類が飲み込み、それを人が食すると危険だと言っていましたが、ナノ・プラスチックの場合は、直接、人の体内に入り込んでしまいます。呼吸器系や消化器系は空気と触れ合っているので入り込むのは理解しやすいですが、では、なぜ、脳の中にまで侵入してしまうのでしょう。少し難しい話になりますが、微細な異物が血管に入り脳の血管に達しても、本来、脳の血管は、必要な特定栄養分のみ吸収し、それ以外は脳には入らせないよう厳密な関所が備わっています(血液脳関門と言います)。ところが、プラスチックは脂肪(コレステロール)と親和性がよく(仲良し)、体内の脂肪がナノ・プラスチック粒子を覆ってしまい、血管壁の関門を通リ抜けてしまうと考えられています。まるで、ステルス戦闘機やトロイの木馬のように。これは人間の脳の約60%が脂肪のため、血液脳関門が必要な養分と判断して取り込んでしまうのだそうです。
 現在のところ、脳に蓄積されたナノ・プラスチックが人体にどんな悪影響があるのか(神経系には影響ありそう)、いつ症状がどのように現れるのかなどはわかっておらず、今後の研究を待たなければなりません。怖い話ですが、唯一の救いはウィルスとは違い、ナノ・プラスチックが有限(自分では増えない)であること。理論的には、ナノ・プラスチックを発生させなければよいわけです。少なくとも、未来の子どもたちのためにもプラスチックのリサイクル,代替材料などを真剣に考えなければならないでしょう。第1話「マイクロ・プラスチック」の繰り返しになりますが、日本は、プラスチック廃棄量で世界第2位、使い捨てプラスチック(リサイクルされないもの)も世界で4番目に多い国ですから。

 みなさんは「世界終末時計」ってご存知でしょうか。2026年に、「人類滅亡の瞬間(午前0時)」まで残り85秒(過去最短)と発表されました。もちろん、時間を正確に表すのではなく、安全な状態と危険な状態との距離により、世界の危険度を象徴的に示すものです。1953年に米国の科学者組織「原子科学者団」によって設定された象徴的な時計です。「残り85秒」とは、人類が直面する核戦争の危険や気候変動,パンデミック、また人工知能などのグローバルリスクが極めて高く、人類が存在の危機的状況にあることを意味します。逆に危険が遠のけば、時間がもどる(残り時間が長くなる)という時計です。
 さて、この 「世界終末時計」をどう受け止めるかは個人によって異なると思いますが、ひとつ確かなことは、人類は過去に何回も絶滅しているということです。そんな馬鹿な、と思うかもしれませんが、現在、生き残っている人類はホモ・サピエンスのみです。過去に生存していた人類は全てホモ・サピエンスとの競争に負けたか自然淘汰され絶滅してしまいました。絶滅した代表的な人類では、ネアンデルタール人,デニソワ人,ハイデルベルク人,クロマニヨン人,ホモ・エレクトスなど。聞いたことのある人類もいるかと思います。ある人類はホモ・サピエンスとほぼ同時期に存在しました。当時のホモ・サピエンスの人口は全世界で数10万人、クロマニヨン人(ヨーロッパのみ)も総人口は数万~10万人程度とされていますが、ホモ・サピエンス以外の人類はすべて絶滅し、お会いすることはできません(一部、DNAが私たちに受け継がれている)。ホモ・サピエンスはその後、発達し現在のように爆発的に人口を増やすことができました。
 では、なぜホモ・サピエンスのみが生き残ったのでしょうか。他の人類は知能が低かった?、身体が弱かった?いや、ネアンデルタール人などはホモ・サピエンスと比べても、脳の体積は大きく、体格もよかったといわれています。単に自然環境によるものだとすれば、ホモ・サピエンスの方が絶滅していてもおかしくありませんよね。
 ホモ・サピエンスが生き残った要因には、こんな学説があります。
  ・象徴的表現が可能、かつ緻密な言語能力により、知識,情報の世代間伝達が加速した
  ・社会構造に柔軟性があり、大規模な協力ネットワークを形成可能だった
  ・他の人類との交雑(遺伝的多様性)で免疫系や代謝能力が強化された
  ・交易やアイデアの伝播が集団間の知識格差を緩和した
  ・祭祀文化により集団の結束と協力行動の強化をはかった   など
 すなわち、コミュニケーション能力の高さ(ホモ・サピエンスは発声器官も進化)と、お互いの協力と団結力が、ホモ・サピエンスを生き残らせたとも言えないでしょうか。これが人類生存の決め手だとすると、現代のホモ・サピエンスは、これを失いつつあるのが気になりますね。
 文頭に述べた「世界終末時計」の針が進んだ要因は物理的・環境的な危機が高まったと言えますが、人類のつながりの危うさもある気がします。「世界終末時計」を進めたのは、人類(ホモ・サピエンス)ですが、針を戻すことができるのも人類自身です。個人にできることは小さいかもしれませんが、少なくともコミュニケーションにより相手を理解する姿勢からスタートし、信頼・協力につなげるか、または、意見を述べ合って互いの着地点を求めることが大切かと思います。
 今回はSDGs関連とはすこし逸れた、取りとめのないテーマを取り上げましたが、持続可能な世界平和をめざすSDGsとは逆行する出来事が多発する現状に対し、ふと書きたくなりました。ご容赦ください。

 家庭ごみの平均リサイクル率は統計や年度により、多少異なりますが、おおよそ18%です(2022年度は18.21%)。東海3県では、リサイクル率の高い順に愛知県(全国9位;22.2%)・三重県(19位;19.7%) ・岐阜県(24位;16.7%)となります。なお、トップは鳥取県の28.3%、最下位は和歌山県の12.4%、東京都は23.9%で4位と上位です。
 さて、今回は知っているようで知らない家庭ゴミの行方についてまとめてみました。ゴミの分別方法は自治体によって異なりますが、大きく、可燃ゴミ,プラスチックゴミ,不燃ゴミ,資源ゴミ,粗大ゴミ,電池ゴミ(それぞれの言い方は違うかもしれませんが)と分類しました。それぞれどのような運命をたどるのでしょう。
 まず、可燃ゴミですが、想像されるように焼却場で燃やされますが、地域によっては、その熱エネルギーは温水プールに利用されたり、出た灰はコンクリートに混ぜ込まれ道路素材にもなります。また、生ゴミをを肥料として再生し、農業に使われることもあります。
 プラスチック容器・包装ゴミは、リサイクル工場で異物除去した後、細かく砕いて溶かし、粒状のペレットという原料になり、駐車場の車止めや運搬用のパレットなどに生まれ変わるほか、鉄や化学製品をつくる工場での原料としても使われます。
 次に、不燃ゴミは、すぐ埋め立てられるのではなく、処理施設にて、リサイクルできる金属(鉄,アルミ)を磁石や風力によって選別します。アルミは本来は磁石には反応しませんが、高速回転する強力な磁石であれば反発して分別できるそうです。厄介なのは、ガラスや陶器です。家庭から出されたガラスや陶器は最終的には埋立処分となります。ガラスは溶かせばリサイクルできそうですが、不純物による有害物質発生の可能性があるため埋め立てられるのが一般的です。
 資源ゴミと言われるものには、ビン,缶,ペットボトル,牛乳パック,段ボール,古紙がありますが、文字通り、そのまま再利用されたり、姿を変えて私たちのもとへ戻ってきます。姿を変えるものには、たとえば、スチール缶が自動車のドア、青・緑色のビンが建設資材、牛乳パックがトイレットペーパー、古紙が再生紙となって、再び利用されています。
 粗大ゴミについては、まだ使える家具や自転車などは地域のリサイクルセンターに引き渡され、再利用できるよう修理され再販売されます。再利用が難しいものは解体され、磁石により鉄やアルミを取り出しガラスなどを取り除いた後、燃えるゴミを分けて焼却場へ運ばれます。残った燃えないゴミは埋立てられます。2001年からは電気製品のうちテレビ・冷蔵庫・エアコン・洗濯機は電器店に有料で引き取られ、家電リサイクルプラントで処理・リサイクルされます(家電リサイクル法)。ちなみにエアコンの総重量の80%以上はリサイクルされているそうです。
 最後に今なにかと話題となっている廃電池の処理ですが、名古屋市の例を参考にまとめました。回収された電池は、まずは大きさ,形状,材質(アルカリ電池・マンガン電池・リチウムイオン電池など)によって大まかに分類され、さらにX線検査など高度な検査方法を用いて電池のラベルや刻印を読み取り、メーカー,容量,製造年などを確認し細かく分類されます。そして、電池の端子部分を切断したり、外装を剥ぎ取ったりするなど事前処理を行ったうえで、破砕機を用いて電池を数ミリから数センチ程度に粉砕します。もちろん、この際、発火や爆発を防ぐために、窒素ガスを充填したり、冷却装置を使用したりするなどの安全対策が講じられています。細かく粉砕された電池は、比重選別(水や空気中で比重の違いを利用して金属と非金属を分離),磁力選別,風力選別,化学的分離(溶解など)で分離され、金属は溶解・電解精錬などの方法で高純度に精製、有害な化学物質は、中和・沈殿・焼却などの方法で無害化処理が行われます。このようにして、金属,非金属(プラスチック)の再利用、有機物を含む成分は焼却炉で燃焼エネルギーとして回収されます。要するに、たいへんな工程を経て、極力、産業廃棄物を減らす努力がされているということですね。ただ、リチウムイオン電池のリサイクル技術にはまだまだ課題が多く、コストも高いため、研究開発が盛んに行われています。都市内に眠る廃棄物の中には、金,銀,銅などの貴重な金属が大量に含まれていることから、「都市鉱山」と呼ばれていますが、電池も都市鉱山の一種であり、その有効活用が注目されています。
 なお、家庭ゴミではありませんが、使用済自動車も95%以上を再資源化しなければならないという法律(自動車リサイクル法)があり、部品メーカー含め、リサイクル技術を駆使し、現在では99%以上の再資源化率を達成しています。これには皆さんも新車購入時にリサイクル券購入という形で協力しているはずです。
 以上、身近なゴミの行方について書きましたが、ここで忘れてはいけないのは、国としてみると、日本は世界第3位の廃プラスチック輸出国だということです。すなわち、廃プラスチックを国内では処理できずに海外(特に東南アジア)に送っているということです。2017年までは中国が輸出量の半分を受けていましたが、2017年末から受け入れ禁止となり、現在はタイ,マレーシア,ベトナムへと輸出先を変更しています。やがては、東南アジアの輸入禁止処置も懸念されるため、廃プラスチックの減量やリサイクルは日本の直近の課題と言えますね。
 どうでしょう、毎日捨てているゴミについても、この子(ゴミ)の運命はどうなるのだろうと考えてみるのもSDGsにつながるかもしれませんよ!

 地球表面の70%が海で、その海水量は地球上の水の96.5%を占めます。海洋以外の水には、たとえば地下水や湖沼がありますが、その1/2~2/3は塩水です。淡水はと言うと、氷河,永久凍土,河川,土壌,大気中等に含まれますが、全体の2.5%。さらに、淡水の湖や河川など人間が容易に入手できるものに限ると、その割合は0.01%だといわれています。設問の答えは「0.01%」。ただ、雨などの自然循環によって淡水資源は供給されるため、人間の淡水需要量が自然による供給量を超えなければ、計算上は水不足は起こりません。でも、世界を見たら、そんなことはありませんね。国によって水不足は死活問題です。
 今回は、世界の水問題まで話を広げると紙面が多くなりすぎるので、まずは日本の水問題について書くことにします。
 私たちの国では水道などのインフラ設備が整い(最近は老朽化の問題がありますが)簡単に水が手に入るため、水不足を軽く考えがちですが、見方によっては「日本の水の自給率は23%」ともいわれています。一体どういうことでしょう。注意すべきなのは、生きていくために必要な水とは飲料水だけではないということです。工場でモノを製造する際には冷却や洗浄で水を使いますし、作物を育てるためにも家畜を飼育するためにも水が必要です。実は、食料自給率が大きく関わってきます。日本は、農林水産省データでは、令和2年度における食料自給率は37%(カロリーベース)と低く、60%以上の食品を海外から輸入しています。これは日本が他国(輸入国)の水資源の使っているということ、すなわち、淡水資源を他国に依存していることになります。このような考え方に基づき「日本はバーチャルウォーター(仮想水)に依存している」と言うそうです。さらに、生産から輸送,消費,消費後のリサイクルなど、全てのプロセスで使用された水の量を計算すると、日本人1人当たり3.8リットル/日のうち、日本国内でまかっている水の割合は23%ということです。ちなみに、自給率の高いアメリカとカナダは80%、G7の中では日本がいちばん自給率が低く、次いでイギリスの25%だそうです(2019年 世界水の日報告書)。
 では、この潜在的な水不足の状態をどうしたよいのでしょう。日本は水資源の管理が進んでいる国ですが、気候変動や災害の影響を受けやすいのも事実です。特に夏場の少雨や猛暑で、ダムの貯水量が減少し、地域によっては節水制限が実施されることもあります。農業用水が不足すれば作物の収穫量が減少し、食料価格の高騰につながります。さらに、工業生産に必要な水が足りなくなることで経済活動にも影響が及びます。対策として、一部では海水淡水化や浄化槽の普及・整備が進められていますが、これらの点については、私たち個人は無力です。私たちができることは、まず、水についてもっと関心を持ち、理解を深めることではないでしょうか。例えば、自分たちが摂取している水の水源地はいったいどこにありどんな状況なのか、またどうやって運ばれているのか、どのように飲料水になるのかなど。こういった水に関する知識を蓄えていることで、安心で安全な水を供給するのにどれだけのコストが必要なのか、またそれに携わる人たちにどれだけの労力がかかっているのかを理解できるようになります。水は安い方がいい、できれば無料がいい、という世論もありますが、水分野への投資は限られ、結果として安定して供給する体制は維持できなくなってしまうでしょう。わたしたちは、水の重要性を再認識したうえで、日頃から効率的な(無駄のない)水利用に心がけることが必要です。
 次回は、もっとシビアな世界の水問題について書きたいと思います。

 今回は、生物多様性の話。この言葉が使われるようになったのは1985年頃。地球環境の変化で私たちはじめ動物,植物の生態系に危機感を覚えるようになった頃です。生物多様性とは、地球上には3000万種類(一説には最大1億種)もの生き物がいるといわれていますが、すべての生き物は長い歴史の中、異なる環境下で進化し、互いにつながり、直接的・間接的に支え合ってきました。私たちがいま存在するのもそのおかげです。このことを生物多様性と呼びます。たとえば、私たちは他の動植物を食物としてその恩恵を受け、体内では大腸菌などの細菌が活躍しています。遠い昔、ヒトが胎生になった(胎盤ができた)のもある種のウィルスのおかげといわれています。
 しかし、毎年1,000~1万種が絶滅しているともいわれています。全体の0.01%~0.1%が絶滅していると警告する科学者もいます。日本における野生動植物の約30%が絶滅の危機に瀕しています。さらに問題なのは、絶滅率の上昇、すなわち、種の絶滅・生物多様性の喪失が過去の恐竜絶滅のような大絶滅と比較して、そのスピードが圧倒的に速い、という点です。その速さは、1,000倍から1万倍になるといわれています。科学的に算出されてはいますが幅があり、まだ正確とはいえない面もありますが、起きている生物多様性の喪失が、きわめて大規模で、深刻であることは間違いありません。近年出された温度変化の予想においては2100年までに1.4~5.8℃の上昇が見込まれており、これは世界の様子が全く変わることを意味しています。生息域を失った動植物の絶滅あるいは人間居住地への進出,新型感染症の流行,薬品材料の喪失に加え、動植物の成長速度の変化,生殖周期の変化,食料不足,水不足など想像以上で多岐にわたるでしょう。
 国連は、2021年から2030年までを「国連生態系回復の10年」と位置づけ、生態系を保全・回復させるための取り組みを加速させていますが、残念ながら、日本の意識・取り組みは、世界と比べて遅れているというのが現状です。世論調査では、生物多様性という言葉の意味を知っていた人は20%ほど。
 では、私たち一人ひとりにできることは何でしょう。「国連生物多様性の10年日本委員会」は、「MY行動宣言」として日常の中で取り組める5つのアクションを紹介しています。
  1|食べよう~地産地消~地元でとれたものを食べ、旬のものを味わおう。
  2|ふれよう~自然と親しむ~自然の中へ出かけ、自然や生きものにふれましょう。
  3|伝えよう~自分から発信~自然の素晴らしさや季節の移ろいを感じて、情報発信しよう。
  4|守ろう~つながりを守る~ボランティア活動や寄付など、保全につながる活動に参加しよう。
  5|選ぼう~エシカルな選択~環境や生態系へ配慮された商品を選んで買いましょう。
まずは自らの意識向上と身近な取り組みからスタートです。

 さて、ここからは余談ですが、人類も絶滅していることをご存知でしょうか。私たちホモサピエンスは唯一生き残っているヒト属です。古くは、ネアンデルタール人,クロマニヨン人などといった多くのヒト属が存在しましたが、みな絶滅してしまいました(ネアンデルタール人の遺伝子の一部は私たちに引き継がれていますが)。では、なぜホモサピエンスは生き残ったのでしょう。知能の高さ?いや脳の容積はネアンデルタール人のほうが大きかったようです。カギは、コミュニケーションだったようです。身体的に言語を明確に話せるようになり、情報交換・伝達ができ、社会をつくり、さらに相手を思いやる感情も強くなってきたのだといわれています。少し考えさせられますよね。ちなみに、国際自然保護連合の絶滅危惧種レッドリストでは、ヒトはスズメ,ハツカネズミなどと同じ低危険種(絶滅は低リスク)だそうです。

 地球温暖化の敵であるCO₂を吸収してくれるのは植物・森林であることはご存じのとおり。でも、近年、まれに見る速さで森林は減少しているんです。
 2019年からの5年間では東京ドーム4個分の森林が1分ごとに消失しているんです。別のデータでも2015年以降毎年、東京都と同じくらいの面積の森林が1週間ごとに失われ続けているということです。地球上の森林面積は、ここ30年で約4%減少していることになります。特に破壊のスピードが速いのは、中南米・アフリカ・東南アジア・オセアニアの熱帯を中心とした地域です。

 森林減少は、開発途上地域における森林の農地への転換、過剰な伐採、違法伐採、森林火災などによるもの。森林を切り開いてパーム油やゴム,大豆,カカオなど多くの農産物や製品原材料が生産されており、輸入国である日本も深く関係しています。
 また、近年は大規模な山火事も起きていますね(アメリカのニュースが目立ちますが、火災で失われる森林の60%はアフリカです)。あまり知られていませんが、薬品の原料となる木も失われているそうです。そして、多くの野生生物が森林破壊によってすみかや食糧を失い、絶滅の危機へと追いやられています。中には、新型(未知の)ウィルスをもつ野生動物が森を追われ、家畜,人間と接触し感染拡大が起こることも懸念されています。
 一方、活発な植林活動を行っている温帯地域の中国やフィリピン,インドなどの国では森林面積が増加し、一定の効果が認められています。特に、中国の植林活動が進んでいるとのこと。
 現在、ヒトによるCO₂排出量増加と、それを吸収してくれるはずの森林減少でカーボンニュートラル(均衡)は危機状態です。ただ、パーム油,大豆,カカオなどの生産を維持(生産者の生活維持)することも大切です。現在、行われている活動は、それぞれのエリアの特性を活かしながら、持続可能な森林の利用への転換ということで、樹木のタネを集めて守り伝える「シードバンク」の取り組みや原材料の生産を持続可能な形に改善する取り組みなど。
 では、私たちが世界の森林を守るためにできることは何でしょう。まずは、違法伐採された木材や木材製品を買わないことです。「合法性」や「持続可能性」を見分ける方法の1つとして「森林認証」があります。森林認証とは、森林が適切に管理されていることを第三者機関が認証し、その森林から産出された、木材・木材製品に認証マークをつけることにより、消費者が選択的にこれらの木材等を購入することができるようにする制度です。認証マークには、PEFC認証,FSC認証,SGEC認証等などがあり、日本でもマークの付いた製品は多く流通しています。私たちが、そうした森の環境に配慮して生産された製品を選ぶことから、日本からも応援することができるというわけです。
 なお、本文はWWF(世界自然保護基金),環境省自然環境局の資料を参考に作成しました。

 今回は、前回のカーボンニュートラル対策のうち、私たちができることのひとつとして食品ロス低減を取り上げてみました。食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のこと。飼料用などに売買される分は除かれます。
 まずは、現状を認識しましょう。少し前のデータですが(でも最新)2018年農水省データでは、世界で廃棄される量は13億トン/年、そのうち日本での廃棄量は600万トン/年(東京ドーム約5杯分)。1人あたりでみると47kg/年で、日本は、オランダ,フランス,英国,米国,ドイツに次ぎ第6位で、アジアでは最低(最悪)です。みなさんが毎日茶碗1杯分のごはんをポイっと廃棄している計算です。「もったいない」精神が強いはずの日本人ですが、ちょっと情けないとは思いませんか。さらに言えば、日本は食品の62%を輸入に頼っているのに。CO₂排出量に換算すると、食品ロスにより発生するCO₂(運搬,焼却時のCO₂)は家庭から排出されるCO₂総量の約20%で空調冷房でのCO₂排出量の2倍です。
 廃棄量は大きく、私たちの家庭から出る家庭系食品ロスと、コンビニ,スーパー,飲食店などでの廃棄の事業系食品ロスに分かれます。
SDGsにおいて、日本が目標としているのは、事業系食品ロス,家庭系食品ロスをともに、2030年度までに2000年度比で半減するとのことです。
 ■事業系食品ロス:2000年現状=547万トン → 2030年目標=273万トン (2018年時点=324万トン)
 ■家庭系食品ロス:2000年現状=433万トン → 2030年目標=216万トン (2018年時点=276万トン)
SDGsで食品に関しもうひとつ触れておかなければならないのが、食料不足により栄養不足となっている人たちがいることです。途上国を中心に8億人以上(約9人に1人)が十分な量の食べ物を口にできず、栄養不足で苦しんでいます。収穫技術の低さや、厳しい気候下での貯蔵の難しさなどの理由から、生産や加工の段階で食品ロスが発生するとされています。さらには日本でも9人に1人の子どもが食事に困っているといわれています。同じ地球で同じ国で、一方は余った食品を廃棄し、一方は食品が足りないという矛盾,溝を埋めることができるのはいつのことでしょう。
 では、上記を踏まえて、食品ロス低減(CO₂排出量削減)のための私たちは何をしたらよいでしょう。家庭系食品ロスと事業系食品ロスに分かれますが、事業系食品ロスについても私たちができることがありますよね。簡単にキーワードを箇条書きしましたので、具体的には皆さんでお考えください。
 ■家庭系食品ロス低減
  ・計画的な買い物(買い過ぎない)や適切な保存方法の実践
  ・少量パックでの購入
  ・余った料理の再利用(作り替え)
  ・フードバンクへの寄付,フードシェアリング など
 ■事業系食品ロスに対し私たちができること
  ・規格外野菜,果物などの買い物(訳アリ品,産地直売)
  ・消費期限,賞味期限を意識した買い物
  ・飲食店での少量メニューや持ち帰りサービスの活用 など     

 題記テーマについては以上ですが、ここからは余談です。昨今の米不足でおもしろいお話を思い出しました。報道でいわれている投機目的の米買い占めは今に始まったことではなく、江戸時代から行われていました。すると、民衆の怒りが爆発し、打ちこわしが勃発しました。ここでは天明7(1787)年5月に起きた「天明の江戸打ちこわし」を紹介します。
 民衆は、米を貯め込んでいる商家に群衆となって押しかけます。
ただ、その打ちこわしには徹底したルールがありました。火付け厳禁,商人の殺傷厳禁,米の持ち去り厳禁など。街角には打ちこわしの目的と幕府への要求を書いた旗を掲げます。
当日、まず、打ちこわしリーダーが商家を訪れ、出火の恐れがある火元をすべて消します。そして、打ちこわしを開始します。米や味噌などを道にばらまいたり、川に投げ入れます。打ちこわし側の民衆をそれを拾って持ち去ってはいけません。見つかれば、仲間に罰せられます。商家の人々は黙ってみているだけだったようです。途中には、リーダーの合図で休憩時間がありました。そして、再び打ちこわし開始。民衆は極めて組織的であり、見物していた水戸藩士は「まことに丁寧、礼儀正しく狼藉」と記録し、別の武士の記録にも「打ちこわし勢は一品も盗み取ろうとしない」と書かれています。「打ちこわし」という言葉とは裏腹に、いかにも江戸っ子,日本人らしさを感じるエピソードですので、紹介しました。時代は、今年のNHK大河ドラマ「べらぼう」と重なりますので、放映回があれば楽しみです。 

 皆さん、カーボン・ニュートラルは聞いたことがあると思いますが、意味をご存じでしょうか。「CO₂を出さないこと」・・・正解ではありますが、厳密にいえば、地球上の温室効果ガス (大半は二酸化炭素:以下ではCO₂と表す)の排出量と吸収量を均衡(ニュートラル)させ、その排出量を実質ゼロに抑えることです。排出量<吸収量とすることです。単純に、CO₂をゼロにすることではありませんね。植物は光合成により大気中のCO₂を取り込んで成長します。そのため植物を燃やしてCO₂を発生させても、もともと空気中に存在したCO₂だから総量の増減はなく、カーボンニュートラルが成り立ちます。(地球上のCO₂をゼロにしたら、植物そして動物は死滅してしまいます)
 私たち人類は化石燃料を使い始めました。化石燃料は植物が吸収したCO₂が有機化合物を経て化石となり、生物圏や大気圏から循環から完全に離脱したものなので、それを燃焼させると大気中のCO₂は増加し、カーボンニュートラルではなくなるわけです。回りくどいけど、結局、化石燃料を燃やすと、吸収量より排出量が増えてしまい温暖化が進むということです。
 CO₂が大気中に増えると、どうなるのでしょう。まず、地球温暖化によるゲリラ豪雨や強烈な台風、氷山・氷河の解凍などによる陸地の減少などの自然災害(すでに前兆が起きているとも言えますね)。そして異常な気温上昇による熱中症での死者増加や新たな熱病の流行、さらには栽培できる食物や獲れる魚介類も変わってきます。
 COP21(国連気候変動枠組条約締約国会議)パリ協定が有名ですよね。「世界的な平均気温上昇を工業化以前と比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力をする」ことが世界共通の長期目標として定められました。しかし、21世紀の間に1.5℃の上昇幅を超えるという予測もあります。1月に就任したトランプ大統領はパリ協定から離脱し「(化石燃料を)掘って、掘って、掘りまくれ」と言っていますが、墓穴を掘らなければいいですが。
 CO₂を吸収してくれるのは、自然界では言うまでもなく植物です。また、海水もCO₂を吸収します。でも、急激な森林伐採や山火事などでどんどん面積が減っているのが現状です。ここで、題名の答えですが、1年間に1世帯で排出するCO₂は4,480kg(2017年)で、これを吸収するためには40年生のスギ509本が必要といわれています(林野庁)。驚きです!
 人類が生きていくにはCO₂排出は避けられませんが、では、どうしたらよいのでしょう。政府方針,企業方針はさておき、ここでは私たちのレべルでできるカーボンニュートラル対策を考え、実行していきましょう。基本的には、化石燃料から生まれる製品の使用量低減と緑化です。具体的内容は、今後このサイトで紹介していきます(1回では紙面?が足りないので…。)なお、みなさんが呼吸を止める必要はありません。呼吸で人間が排出するCO₂は極々わずかで問題ないレベルですから。

 日本は世界2位なんですよ。1位はアメリカ。いろんな見方があって、海への廃棄量トップ国はフィリピン、使い捨てプラスチック(リサイクルされないもの)の廃棄量は、中国とアメリカが断トツ、日本はインドに次いで世界で4番目に多いんです。日本のプラスチック・リサイクルは、まだまだなんですね。

 さて、ヒトを含めた生物にとって問題なのは、マイクロプラスチックです。マイクロプラスチックとは5mm以下の微細なプラスチック。もともと微粒子状につくられたプラスチックを1次マイクロプラスチックといい、大きいものが砕けて細かくなったものを2次マイクロプラスチックと呼びます。1次マイクロプラスチックには、化粧品や歯磨き粉などの一部に配合されているものもあるみたいですよ。これは私たちにはどうすることもできませんよね(業界団体による自主規制の動きはあるようですが)。私たちに、より関係するのは、2次マイクロプラスチックでしょう。身の回りはプラスチックだらけです。軽量で成形しやすく安価で大量生産できるので、容器,生活用品,電化製品から自動車まで幅広く使われてきましたからね。この後処理が問題です。
 では、生物にとってどんな影響があるんでしょう。マイクロプラスチックがやがて海に流れ込んで、海中の微量な化学物質を吸着し、それを海洋生物が摂取して死んだり、回りまわってヒトが食することもあるわけです。水俣病のように生物体内で濃縮し、それをヒトが食すという連鎖が考えられるといわれています。また、それは海だけでなく、陸上でも同じです。植物に付着したマイクロプラスチックを家畜が食べてしまうケースもありますからね。ただ、ヒトの体内に蓄積したらどうなるかは、まだはっきり分かっていないようです。内臓を傷つけたり、血管に入れば動脈硬化の原因にもなったりするのでしょうか。
 では、私たちはどうすればいいのでしょう。プラスチックの運命はリサイクルか、焼却か、埋め立てのいずれかです。水と二酸化炭素となって自然界へと還る生分解プラスチックや天然由来の素材で作られたプラスチックなどもありますが、まだまだ対応は追いつきません。私たちにできることは、やはり、リサイクル、リデュース(レジ袋→エコバッグなどゴミを減らすこと)、リユース(モノを捨てずに繰り返し使うこと)をしっかり実施し、プラスチックを自然界に廃棄しないことでしょう。
 結局、当たり前のことをやり抜くことなんですよね。